梅田東・中崎・北天満 レトロストリート構想
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創造都市キタ/扇町創造村
大阪市立大学大学院 創造都市研究科
 
 
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大阪中崎物語 → http://maeda-craft.com/essay/
 
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新着情報
 
中崎エリアとは?
   
   堀江、アメリカ村、南船場のように、大阪において旧来の多くの商店街とはやや別に、若者に支持され活況を呈している街区は、鶴坂貴恵(2003)以降「新しい街」と呼ばれることがあります。鶴坂によれば、「新しい街」では、@若者を中心とするこだわりの店舗の集積、A新しいネットワークの形成、によって商業集積として新陳代謝がおこり、それがまちの活力になっているとされています。
   
   そのような「新しい街」の第二世代として、中崎町があります。中崎町は、西日本最大の商業集積である梅田駅前から東に10分ほど歩いたところにある、戦災を逃れた数少ない地域であり、そのため都心にも関わらず古い住宅がそのまま残っている地域です。
   
   この中崎町において、町屋の改装により1997年にギャラリー「楽の虫」が、また1999年にアトリエ兼カフェ「創徳庵」が開業しました。これを契機に、その後半年ほどで若者たちが同様に古民家を改装し様々な店舗が開業しはじめたのです。
   
   2001年には両店のオーナーは共同で「中崎町アートフェア」を開催し、中崎町におけるカフェやギャラリーとの連携をはかります。また同じ年に、パフォーマーであるN氏が「天人」を開業します(図15-1(a))。
   
   こうした一連の動きがマスコミの目に留まり、様々な報道されたことから、中崎町は一躍、若者の街として注目を浴びるようになりました。
   
   図15-1(b)のように、二一世紀に入り数年で、カフェや雑貨店などが多数出店し、まちが変わりつつあります。
   
   その後出店した中崎町のランドマークとしては、「R cafe」と「コモンカフェ」の2店舗があります。「R cafe」は近畿大学と大阪市立大学の学生らが卒業制作のために長屋を改装した2003年にオープンしたカフェ兼ギャラリーです(当時の学生の一人が大学卒業後も店舗を引き継いでいます)。「コモンカフェ」は「扇町ミュージアムスクエア」に携わっていたY氏が主体となっているカフェで、芸術・文化とのコラボレーションと飲食業へのインキュベーションを目的に2004年にオープンしたものです。日替わりのマスターによって運営されているカフェです。
   
   この数年、中崎町はさまざまな雑誌やメディアで取り上げられ注目されていますが、これを一過性のブームで終わらせないということもふくめ、店及び町の活性化を目的に行われているイベントが「ナカザキチョウ蚤の市」です。アイデアはもともと「楽の虫」のオーナーが発案したものですが、2007年4月からは、当初から実際のマネジメントをしていた「花音」のオーナーが事実上の主催者となっています。
   
   具体的には、毎月第一日曜日に、参加店舗が、各店舗前に共通のポスター・看板を設置し、その日限定の何らかのアクション(例えば、オリジナル商品を販売したり、あるいはミニシアターの開催を行ったり)をするものです。
   
   第一回目は2006年2月に、オリジナルメンバーである「楽の虫」・「チャイクラブ」・「花音」の経営者が分担して、主に自店舗周辺の店舗経営者に参加店舗を募集し、10数店舗で開催されました。「蚤の市」の知名度や人気が高まるに連れて参加店舗も増え現在は29店舗(内25店舗が女性経営者、圧倒的に女性経営者が多い)にも上っています。
   
   運営上の工夫について、「花音」の経営者は、「お客様や店、みんなが楽しめて得ができる。常に飽きさせない新しいイベント企画ができるように工夫しています。また、蚤の市マップを作ったのもひとつの工夫です。」と回答しています。
   
   開催にあたっては、「永続的であること」「第一日曜日の定期開催」の二項目を決定し、参加者の負担が軽く長続き出来る方法として、白黒版であったがマップも作成しました。目印のポスターも第一回目から使用しています。
   
   マップ作りにも工夫が施されています。参加店舗はなかなか宣伝に経費をかけることが出来ない。そこで、こうした店舗にとって負担が少ない仕組みが考えだされました。各店舗の経営者が自ら紹介文書き、写真二枚とともに「花音」店主に提出し、「花音」店主が友人のイラストレイターにマップとしてのデザインを依頼し最小ロットの一万部を印刷しました。これを当時の参加店舗二六で頭割りし、一部10円で販売しています。
   
   迷宮のような路地のまち中崎町を訪れる人々にとって最大の問題は、「どこに、どの様な店舗が有るか分からない」という点です。「蚤の市マップ」はこうした問題を解消し、なおかつマップ製作を通じて参加店舗の緩やかな連帯も生まれています。こうした連帯は、参加店舗同士でお互いに買い物をしたり、飲食をしたりという形で広がっています。
   
   ナカザキチョウ蚤の市に関する情報交換は、現在では主に「ミクシー(mixi)」のサイトを利用しておこなわれており、活発な意見交換などもおこなっています。
   
  【参考文献】
『まちづくりと創造都市』(塩沢・小長谷他,晃洋書房 2007)  PDF 752kb
鶴坂貴恵(2003)『商業集積地活性化の意義』『商業集積の活力についての調査報告書』産開研資料No.80、大阪府立産業開発研究所。
   
   
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